研究
竹林学部長・近藤助教らの共著論文が『Geriatrics 2025, 10(3), 78』に掲載されました
2025.07.20
この度、竹林秀晃学部長(運動の巧みさを科学する研究室・理学療法学専攻)、
近藤寛助教(地域と健康研究室・理学療法学専攻)の共著英論文が
『Geriatrics 2025, 10(3), 78』に掲載されました。
論文概要
高齢者の転倒は健康長寿の大きな障害となる。最近の研究では、筋質が転倒リスクと関連していることが示唆されている。本研究の目的は、5回立ち上がりテスト(5R-STS)を用いた機能的筋質指数(MQI)が、地域在住の高齢者の転倒リスクを反映するかどうかを確認した。方法: 65歳以上の高齢者137名を対象とした。下肢骨格筋量(SMM)は体組成計で測定し、筋機能は5R-STSで評価した。MQIは「(5R-STS(秒)/SMM(kg))×10」で計算した。転倒歴は自己記入式質問票で収集し、歩行速度と身体的脆弱性を包含した二項ロジスティック回帰分析を実施しました。結果:転倒者群(n = 36)と非転倒者群(n = 101)に分類し、両群間で歩行速度、TUG、5R-STS、およびMQIに有意な差が認められた。二項ロジスティック回帰分析により、転倒歴の予測因子としてMQIと歩行速度が同定された。ROC曲線を用いた評価の結果、転倒歴を区別するためのMQIのカットオフ値は8.04 s/kg、歩行速度のカットオフ値は1.21 sでした。結論:5R-STSを用いたMQIは、高齢者の転倒リスクの指標として有望であった。因果関係を明確にするためには、さらなる縦断的研究が必要である。
*MQIは、筋肉量の低下だけでなく、筋肉の質的な低下を捉えることができるため、より機能的な身体の状態を評価できます。特に、加齢や運動不足によるサルコペニア(筋肉量の減少と筋力低下)の評価に有効です。
◎論文タイトル
Association between muscle quality assessed by the 5-repetition sit-to-stand test and falls in community dwelling older adults in Japan: A cross-sectional study
(地域在住高齢者における5回立ち上がりテストを用いた下肢筋質指標と転倒の関連:横断研究)
◎著者
Koji Takimoto, Hideaki Takebayashi, Hiroshi Kondo, Koji Ikeda
◎掲載誌
『Geriatrics Volume 10, Issue 3, 78, 2025』
DOI:https://doi.org/10.3390/geriatrics10030078
※Open Journalのため全文を閲覧・ダウンロードすることができます。
本論文の一部のデータは、香南市における高齢者体力測定事業を活用したものです。
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